ブロック塀倒壊、大震災時に多くの犠牲者を出してしまう理由と対策。(ブロック塀問題-2)

『大地震で倒壊、圧死!危険なブロック塀は身近な通学路にも。(1)』の続きです。

タイトル文章を変えていますが、続きなので(2)とします。
危険なブロック塀問題をさらに掘り下げます。

そもそも、ブロック塀が、なぜそんなに危険なのか

ブロック塀の問題点を整理してみましょう。

1.ブロック1個は7〜15キロあって、とても重い。
倒壊によって数百キロの下敷きになれば、どうなるでしょうか。落下の衝撃も加味すれば数トンの重力が掛かります。大人だって即死の可能性が高いでしょう。ブロック塀は人を死に至らしめる凶器と成り得ることを、管理者は認識すべきです。


2.建造されてから年月が経ち、劣化。
正しく施工され、適切なメンテナンスが行われている場合、ブロック塀の寿命は30年程度と言われています。コンクリートも接合部分のモルタルも中の鉄筋も、当然のことながら風雨で劣化してきます。
今回の調査でも、明らかに30年以上経過しているものが、多数見受けられました。劣化した状態で放置しているブロック塀は、建造物として違法です。


3.1981年以前の旧耐震基準で建造。
新耐震基準では、補強となる控壁(背面の補強)の間隔などが変更されています。旧基準のママだとただちに違法という訳ではありませんが、深度5程度でも倒壊のリスクが高くなります。訴訟になった場合は問題視される可能性があります。


4.手抜き工事、素人工事などが横行。
地盤を適切に施工していない、鉄筋を正しく入れていない、控壁がない、などの手抜き工事は特に古いものに多く見られます。
また日曜大工製も、残念ながら正しい知識を持たずに施工されたものが多いようです。当然、倒壊のリスクは高くなります。


5.地盤が軟弱、沈下、液状化。
長い時間を経て、地盤が軟弱化したり隆起したりして、塀自体が傾いてる例も見られます。元々湿地だったり埋立地だったりする場合、地盤の液状化によって倒壊する可能性も高いでしょう。


6.高く積み過ぎ。
建築基準法では2.2mが上限ですが、それ以上に高く積んでるブロック塀も多く見られます。当然倒壊のリスクは高くなります。


7.倒壊した場合、瓦礫が道路を塞ぐ。
消防車や救急車などの緊急車両が通れなくなる可能性が高まります。当然、大問題ですね。


参考サイト:社団法人全国建築コンクリートブロック工業会

ブロック塀倒壊で被害が出た場合、管理者の責任が問われる

適切な管理を怠っていた結果、倒壊によって怪我をさせたり死亡させてしまった場合、管理責任が問われます。大地震のような自然災害でも責任を問われます。
日本司法支援センター「法テラス」によると、

ブロック塀の設置やその後の修理などが不完全で他人に損害を与えたら、塀の所有者は損害賠償責任を負う。故意や過失がなくても賠償しなければならない。

と書かれています。
これは、「他人に危険を及ぼす可能性が大きい物を所有していれば、重い責任を負う」という考え方に立っているそうで、当たり前と言えば当たり前ですね。
ただ、違法でない建造物であれば一定以上の大きな地震の場合、不可抗力として免責されるケースもあるとのことです。
特に古いブロック塀の場合は、耐用年数を過ぎているとして責任を追求されるケースもありそうです。また、1981年に改正された建築基準法を満たしていない場合、適切な改修工事を行う必要があり、それを行っていない場合は責任を問われる可能性があります。
しかし、責任問題以前に「自宅の建造物によって死者が出ることを避けたい」と思わない人はいないでしょう。

危険なブロック塀対策が一向に成果を上げない理由

大地震が懸念される都市部においても、危険なブロック塀が放置されている理由を考えてみたいと思います。

行政も無策だったわけではありません。
数多くの自治体が行っているのは、撤去費用に対し助成金を出すというもの。しかしその多くは費用の一部に過ぎず、塀の保有者の経済的負担は少なくないようです。
鎌倉市の場合、津波の避難路に面している部分については、最大90%を助成するそうですが、これは例外的高率と思います。

鎌倉市では撤去に最大90%の補助を行っている

危険な塀に対し、自治体が改修を求めた、という話はあまり聞きません。所有者の自己申告に対し相談に乗るという受け身の対応です。

本来なら、危険なブロック塀を調査し、行政が積極的に、所有者に対し改修・撤去を求めるべきでしょう。しかし、実態調査すら行われていないのが、多くの自治体に於ける現状のようです。

対策が進まないのは、ブロック塀が個人資産であるため自治体として強制するわけにも行かず、補助金支出にも限界があるためと推測されます。
よって、所有者自身がブロック塀の危険性を認識して自主的に改修・撤去を決断してくれるよう促すのが、精一杯といえるのではないでしょうか。
そのためには、危険なブロック塀に改修を求める世論を盛り上げていくことも需要と思います。

危険なブロック塀を無くすために、どうしたらよいか

条例を改正するなどして、行政の権限を強化するのも必要かとは思います。しかし、その前にできることはまだ色々とあるようにも思うのです。
当サイト『家庭備災』では、地元の区役所や区議会議員などに対し問い合わせや働きかけを行っています。そこで改めてわかったのは、行政は補助金を支出する以外、ほとんど何も行っていないということです。

まずは、管轄地域内に危険なブロック塀がどのくらいあるのか。その実態調査を求めたいと考えます。
調査は、外観で分かることですから、非常に容易と思います。
まずは、そこからでしょう。

次の段階としては、危険な状態にあるブロック塀所有者に対し、改修を働きかける。その際、放置して倒壊した場合は責任が問われることも伝える。
これは、少々脅かしになるので伝え方には注意が必要ですが「不動産を所有するということは管理責任も持つ」というのは、本来当然のことです。

この程度のことは、現行法の範囲でどこの自治体も行えるのではないでしょうか。

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ブロック塀倒壊、大震災時に多くの犠牲者を出してしまう理由と対策。(ブロック塀問題-2)” に対して 4 件のコメントがあります

  1. 下山 より:

    大阪市民です。
    また、ブロック塀による被害が出てしまいました。
    一つは、行政が管理すべき小学校の塀。縦筋が重ね継ぎ手です。控え壁はありません。
    30mくらいありそうな塀です。なぜあれを放置していたのか。
    犠牲になられた小学生の事を思うとやりきれない。

    1. stromatolite より:

      コメントありがとうございます。
      仰る通りと思います。
      市の管理物件でこんなことが起きるのは、行政の怠慢としか思えません。
      危険箇所の調査すらしていなかったのでしょう。
      私にも10才の娘がいるので、ほんとうに居た堪れません。

  2. 下山 より:

    大阪府では、学校の塀に関して緊急のチェックが入るようです。
    ですが、ブログ主さんのおっしゃるように全国で民間の建物も含めてこれを実施しないとならないですね。

    今回の小学校の塀に関しては、責任ある建設会社に発注しているとはとても思えない杜撰な代物です。
    倒壊まえの映像で端の部分が映っていたのですが、素人のような隙間がすでにありました。
    公共建築の塀をど素人の個人業者に発注したとも思えます。
    この問題は大きく発信しなければなりませんね。
    全国に危険個所があり過ぎです。法的な罰則強化が必要です。

    1. stromatolite より:

      高槻市は3年毎に検査していたと会見で述べていましたが、嘘だと思います。
      シロート目にも、建築基準法に適合していないのは明らかです。
      18日夕方以降、市はようやく認めたようですが、責任を明確にしてほしいと思います。
      《大阪府高槻市は18日、市立寿栄小4年の女児(9)が下敷きになり死亡したブロック塀について、基礎と塀を固定する設備がなく、建築基準法に適合していなかったと明らかにした。》(共同通信)
      法的な罰則強化の必要、まったく仰る通りです。
      ブロック塀は全国にありますから、運用は自治体が行うにしても、まず国が主導すべきでしょう。

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