被災時の食生活は、栄養不足・偏りが大問題。その備えと対処法は。

被災時の食生活は栄養不足・偏りが必至

大地震災害時、避難してきた人々に対して行政が提供できる食料はせいぜい三日分、などと言われています。
自衛隊などによる炊き出しや支援物資が届くにしても、首都圏の災害の場合、あまりに広範囲かつ被災者数が膨大で、必要十分な食料供給はとうてい期待できません。
それに、行政からの食料供給は避難所の人 優先、支援物資は在宅被災者にまではなかなか廻ってきません。
大都市が大地震に襲われた時、直後から一ヶ月くらい食料不足に陥るのは必至。当然、被災者には深刻な栄養問題が起きるでしょう。
 行政の備蓄食料や支援物資の食料にありつけたとしても、そこで供されるのはオニギリ、アルファ米、カップ麺、菓子パン、乾パンなどの炭水化物がメイン。つまり、空腹を満たすことを重視した食料がほとんどなのが実情です。
また、災害に備え自宅で食料備蓄していたとしても、やはり栄養バランスまで考えて食料を選んではいないのではないでしょうか。

実際の災害時、被災者の食生活はどうだったのか

実際、阪神淡路大震災、東日本大震災のときも、一ヶ月以上の避難所生活を強いられた人が大勢いました。
ある体験者の話では、避難所での食事は一日に1〜2回、内容は上記に上げた炭水化物+稀に味噌汁などという、最低限の空腹を満たすだけのものだったとのこと。
最初は最高のご馳走に見えたオニギリ(塩むすび)も、しまいには見るのも嫌になったと告白する人もいます。
一方、在宅被災者の食生活はなかなか見えてきません。しかし体験者によれば、家庭での買い置きの缶詰などはすぐ底をつき、数日後に営業再開した店があったものの生鮮食品は皆無、米の他はインスタントラーメンや菓子パンばかりの食生活だったといいます。
地方都市では、農家から野菜を分けてもらったという話も聞かれますが、都市部ではそんな農家も存在しない地域の方が多いでしょう。

栄養不足・偏りは、肉体的にも精神的にも健康を害す

●栄養不足・偏りは体調不良、病気の原因にも
いうまでもなく、栄養不足はあらゆる体調不良の原因となります。体力低下、頭痛、めまい、不眠、肌荒れ…等々。これらは、いずれ大きな病気につながります。
同じものばかり食べ続けた結果、食欲が減退し精神的無気力を招いてしまった例も報告されています。
また、避難所での炭水化物ばかりの食生活が遠因となり、後日糖尿病を発症してしまった例もあったそうです。

●塩分過多は、高血圧などの弊害を招く
災害時の食事は塩分過多になりがちです。
塩むすびは、副菜なしで食べることを想定し塩が多めに使われていることが多く、加工食品やインスタント食品も塩分が多めです。特にインスタントラーメンは、空腹を満たすためスープまで全部飲み干すことが被災時には多いかと思います。
また、被災時は水が貴重品ですから、水分摂取も足りていないことも状況をさらに悪化させます。
一方、塩分(ナトリウム)を輩出する作用のあるカリウムを含む食品は、不足しがちとなります。
このような状況で被災生活が長引けば高血圧を招き、数々の病気やエコノミークラス症候群のリスクも高めてしまいます。

被災時の食生活がもたらす弊害のイメージ図

●精神的健康にも多大な影響が
大災害時はただでさえ、避難所生活の人間関係などのストレス、大きな余震がくる恐怖からくるストレス、色々な不便がもたらすストレスなど、多くのストレスに晒されます。
空腹はもちろんのこと、ミネラルやビタミンの不足は精神的不安定をもたらします。
避難所では、些細なことから怒鳴り合いや暴力沙汰が頻繁に起きていたという証言もあります。 ストレスを増大させないためにも、肉体的健康を維持するためにも、災害時の食事に於ける栄養バランスは可能な限り配慮する必要があります。

食料備蓄は栄養バランスを考えて取り揃える

ここでは各家庭に於いて、そのような事態にどう備えたら良いのか、どう対処したら良いのかを考えていきたいと思います。
何度も書いているように、被災時の食事は、ご飯、パン、麺類など炭水化物に偏りがちです。
ですので、非常食として備蓄する食材は、栄養バランスを考えて取り揃えることが重要です。

●まずはタンパク質
肉、魚、豆類が、缶詰も豊富にあり買いやすい思います。魚の缶詰ひとつとっても色々な種類がありますね。サバなら水煮・味噌煮など、味付けにもバリエーションがあるので、飽きることのないよう取り揃えましょう。
豆の缶詰は、日頃はあまり使わない家庭も多いかとは思います。そのまま食べてもいいし、色んな料理にも応用できてとても重宝します。探してみると、意外に色々な種類があることに気付くでしょう。

    
●次に、ビタミン
ビタミンというと、生野菜や果物を思い浮かべる人が多いかと思います。しかし、新鮮な農作物は災害時に最も入手し難い食材と言えますね。
しかしこれも、缶詰でかなり補うことが可能です。特にミカンの缶詰は必ず備蓄しておきたい一品です。缶詰でもビタミンはちゃんと含まれているの?と疑問に思う人も多いかと思いますが生のミカンの80%は保持できているそうです。他にもパイナップルや桃など、フルーツの缶詰は多めにストックしておきましょう。
野菜の缶詰はあまり馴染みがないかと思います。ポパイでお馴染みほうれん草の缶詰も、日本で売っているのを見ることは稀ですね。
でも、缶入りの野菜ジュースならどこでも売られていますよね。トマトジュースやにんじんジュース、複数の野菜をバランスよく配合した製品もあります。こうしたものもぜひ、ストックしておきましょう。
    

●そして、ミネラル
カリウムは、ナトリウム(塩分)の排出を促し血圧を下げる効果があるので、意識的に摂取したいミネラルのひとつです。野菜や果物に多く含まれるので、ビタミンの項目でも上げたジュース類が効果的です。他に保存性の高いものとしては、ドライフルーツやミックスナッツが缶入りもあってストックに都合が良いでしょう。
ミックスナッツに含まれるアーモンドはマグネシウムの摂取にも効果的です。

カルシウムは被災時に忘れがちな栄養素のひとつですが、骨ごと食べられる小魚、缶詰だとオイルサーディンなどが良いでしょう。また、意外にもカルシウムが多く含まれるものにインスタントラーメンがあります。インスタントラーメンにはビタミンB1、B2も含まれているそうなので侮れないですね。これは、日本即席食品工業協会がインスタントラーメンに日頃不足しがちなカルシウム等の強化剤をできるだけ添加することを推奨いるためです。なので、全てのインスタントラーメンに当てはまるわけではないと思います。添加物表示を見ればわかりますので確認してください。

鉄・亜鉛も必須ミネラルです。価格も手頃で備蓄しやすいものとして、レバーの缶詰をお勧めします。レバーペーストならパンに塗ったりしても食べられるので、レバーが苦手な人でも食べやすいかと思います。
他に、貝類の缶詰も良いでしょう。

  

●まだまだ色々ありますが最後に、食物繊維
野菜類や海藻、穀類に多く含まれていますが、ここでは安価で入手しやすい、ひよこ豆の缶詰をお勧めします。
また、ひじきの缶詰もお勧めです。食物繊維のほか、カルシウムやマグネシウムも豊富に含まれています。

もちろん、こうした栄養素をサプリメントで補給するのも一案です。ただサプリメントにも消費期限がありますので、備蓄の際には注意しましょう。

厳しい状況下でも、できる限り充実した食事の時間を

限られた食材・調理環境であっても、少しでも充実した食生活を送りたいものです。
被災時は、たくさんのストレスに晒されます。そんな中にあって、食事の時間の充実はストレス軽減に大きな効果が期待できます。
前日と同じ食材しか手元になくても、ちょっとした味付けの違いを出したり、見た目だけでも変化を付けてみる。食事の場所を変えてみるのも一考。
厳しい被災生活では「食べられるだけでもありがたい、そんな遊んでいる余裕はない!」と思われるかも知れません。しかし、ちょっとした気遣い、遊び心が食欲促進〜ストレス軽減に役立つこともあるのです。

また、被災時は今後の不安からお金を精一杯節約しようと考えがちです。もちろん節約は重要でしょうが、度が過ぎて食事が貧相になり過ぎないことも大切です。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です