渋谷区が備蓄している非常食を試食してわかった問題点とは?
東京都渋谷区が備蓄している非常食を試食する機会を頂いたので、正直な感想および気付いた点などをレポートします。
これは、区指定の避難所(区立小中学校の体育館など)に避難してきた人のために備蓄されている非常食と思われます。
賞味期限間近のため入れ替えとなったものが防災教室参加者に配布され、私たちは他の参加者から譲り受けた分も含め数箱入手しました。
箱には、「1日3食セット」と書かれているので、1人に対し1日分の食料として想定されているものと思われます。
フリーズドライやアルファ米ではないので、けっこう重量があります。
箱の中身はご覧の通り。リゾット3種類とクッキー、スプーンが入っています。
いわゆる、レトルトパックです。
洋風リゾットの場合、米(玄米)と野菜(トウモロコシ、玉ねぎ、ニンジン)、調味料は食塩のみ。
イタリアンリゾットは、米(玄米)と野菜(トウモロコシ、玉ねぎ、ニンジン)、調味料はトマトペースト、砂糖、ウスターソース、醸造酢、食塩。
和風リゾットは、米(玄米)と野菜(ニンジン、ゴボウ、シイタケ)、調味料は清酒、食塩、鰹節。
アレルギー物質(小麦粉など27品目)、化学調味料などは使われていません。
袋を開封すると、このように水などを注入しなくてもすぐに食べられる状態となっています。
量のイメージを確認するため、全量を皿にあけてみました。
アルファ化米などを使用した非常食と異なり、そのまますぐ食べられるのが大きなメリットです。
で、早速「洋風リゾット」を試食してみたのですが、う〜ん…正直なところあまり美味しくない。中学生と高校生の子どもたちは一口でもう要らない、と。
災害時には食べられるだけありがたい、贅沢言うんじゃない!と怒られそうですが、正直な感想です。
温めてみても、少しは食べやすくなりますが、やっぱりイマイチ。
アルファ化米の非常用保存食はそれなりに美味しく、子どもたちも喜んで食べていたのと対象的です。
50代女性と60代男性の感想は「不味いわけではない」が「3食のうちの1食ならまだしも、これを朝昼晩と3食頂くのはちょっと憂鬱」「うんざりしちゃうかも」というものでした。
3種類、それぞれ味は異なるのですが、共通する食べにくさがあるんですよね。
素材の味をシンプルに活かしたのは良いと思うんですが、後味にも独特のクセがあるように感じました。
(独特の味のクセについてですが、食材に思い当たるものがないので、封入されたパッケージの素材に起因するものかも知れません。試食したものは賞味期限内ですが製造から4年以上は経過しています。もちろん、食べて問題になるようなものではないと思います。これは推測に過ぎません)
味覚には好みもあるでしょうから、あくまで今回試食したメンバーの個人的な感想です。
それと、中高年には1食分の量が多いように思いました。
残して、後で食べようというのは衛生的に問題がありますので、食べきれなかった分は捨てることになります。
ひじょうに勿体ないですね。
ライスクッキーの方は、そこそこ美味しく頂きました。でも、自分で買ってまで食べたいとは思わないかな。
それと、かなりパサパサしているので、飲み物ナシでは厳しいと思います。
セット内容の説明書きです。
販売者、製造者はご覧の通り。
米粉クッキーの注意書きおよび成分表示です。
アレルギー物質27品目を使用していません。
ほんとうに、文句言うんだったら区に頼ることなく自分で用意しろ!と言われて当然かも知れませんが。
長期保存できてアレルギー対応にすると、こんな味にならざるを得ないというのであれば仕方ないです。
でも、アルファ化米の非常食は美味しいのに、なんで?と正直思うのです。
災害時は多大なストレスを受けます。ましてや、避難所生活です。
食事が苦痛だったらどうでしょう?
サタケのマジックライスは、アルファ化米を使用した保存食。こちらは、某商業施設の防災センターに備蓄されているものです。
食べるにはお湯を注入する必要がありますが、常温の水でも大丈夫です。
お湯を注いて中学生の子供と分け合って試食してみましたが、そこそこ美味しく頂きました。
これなら、災害時でなくとも小腹がすいた時の夜食などにも利用したいと思いました。
毎日3食これだと、さすがにどうかと思いますが、1日1食がこのライスならしばらくは美味しく頂けると思われます。
今回の試食から得たことを提言としてまとめておきます。
1. 渋谷区には、次回の入れ替えに際しては製品の選定を再検討して欲しい。
2. 災害時の備えとしての非常食は、自分で好みのものを準備しておこう。