大地震で倒壊、圧死!ブロック塀は殺人凶器に。(ブロック塀問題-1:過去の倒壊事故例)
Contents
大地震の際にはブロック塀倒壊による圧死者が多数出ている
どこでも見かける、コンクリートブロック塀。
低コスト・短期間で造れるので、昭和の時代に広く普及しました。
しかし、そんなブロック塀、大きな地震の際には、命を奪う凶器になってしまうことをご存知でしょうか。
ちなみに、Googleで「ブロック塀+地震」で画像検索してみると、以下の通り倒壊現場の写真がいくらでも出てきます。
宮城県沖地震では死者の半数以上がブロック塀によるもの
1978年の宮城県沖地震。マグニチュードは7.4、最大震度は仙台市内の震度5強。この数字だけ見れば、東日本大震災などに比べると、それほどの大地震ではないようにも思えますが。
しかし、建物の全半壊7400戸、死者28人、負傷者1325人という甚大な被害をもたらしました。
28人もの命が奪われたのは痛ましい限りですが、なんと、その半数以上に当たる18人は、ブロック塀倒壊の下敷きになって亡くなっていたのです。
それから30年以上の月日が経っていますが、果たして、その教訓は活かされ、全国でじゅうぶんな対策は取られているのでしょうか。
熊本地震、宮城県沖地震の教訓活かされず
2016年の熊本地震でも、ブロック塀の悲劇を伝えるこんな新聞記事がありました。
<2016熊本地震>宮城県沖地震の教訓届かず
益城町や隣接する熊本市東区沼山津地区ではブロック塀の倒壊が相次いだ。同町では熊本市の男性(29)が道路側に倒れたブロック塀の下敷きになり命を落とした。(2016年5月 河北新報)ブロック塀の9割、技術基準満たさず 熊本・益城町
熊本地震で大きな被害が出た熊本県益城町で、住宅などのブロック塀の9割が国の技術基準を満たさず、うち約75%が倒壊したとの調査結果を、福岡大の古賀一八教授(建築防災学)がまとめた。(2017年3月 朝日新聞)
河北新報の同記事には、以下のような記述もあります。
「壊れたブロック塀は、建築基準法や施行令をクリアしたケースがほとんどなかった。素人が積んだ塀も多いようだ」そう分析するのは、熊本地震の被災地を調査した古賀一八教授。ブロック塀の危険性について「熊本をはじめ九州一円にあるのではないか。(背景に)大きい地震が来ないという思い込みがある」と指摘する。
『九州一円にあるのではないか』ってことは「さすがに関東以北のブロック塀は撤去または、基準を満たすなど、震災対策も進んでいるだろう」と、この教授は考えているのでしょうか。
しかし、どうでしょう? お住まいの地域で、ちょっと注意して近隣を歩いてみてください。
いかがですか、壊れかけたブロック塀、傾いているブロック塀、高く積まれたブロック塀、手抜き工事が疑われる例など、いくらでも見つかると思います。
やはり、“大きな地震が来ない”という思い込みがあるのでしょうか。
高槻市では学校の塀が崩れ、通学の小学生が犠牲に。
2018年に発生した大阪府北部地震。
最大震度6弱を大阪市・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市などで観測、死亡者6名、重傷者62名、住宅の全壊21棟などの被害を出しました。
なかでも、高槻市の寿栄小学校のブロック塀が倒れ、登校途中の女児が下敷きになって死亡した件については多くの人が記憶に新しいことと思います。
倒壊した壁(写真)は、1.9 mの壁の上にブロックが8段分 積み上げられた構造。これは建築基準法施行令に違反している高さで、内側に控壁もなかったという危険極まりないもの。
こんなものが小学校にあったことだけでも驚きですが、2015年に防災アドバイザーがその危険性を指摘していたにもかかわらず、適切に対処していなかったという何重にもオソマツな対応により、尊い子供の命が奪われる結果となってしまいました。
つづく↓