地震災害で死なない方法-01・過去100年の大震災に於ける死因は?

これまでの100年間に日本で多数の犠牲者を出した震災をリストアップしてみました。
地震によって、人はなぜ死に至るのでしょうか。
家屋倒壊による圧死、火災による焼死、津波による溺死、他にも震災によってもたらされた状況に起因する死など、その原因は色々です。
地震で命を落とさないためにどうしたら良いのか。まずは、これまでの大地震に於ける死亡原因を検証することで、その方策を探ってみたいと思います。

主な大地震と死者不明者数
発生年月地震の名称M最大震度死者不明者数
2016.4熊本地震7.37273
2011.3東日本大震災9.1722000
2004.10新潟県中越地震6.8768
1995.1阪神淡路大震災7.376437
1993.7北海道南西沖地震8.16230
1983.5日本海中部地震8.15104
1978.6宮城県沖地震7.4528
1978.1伊豆大島近海地震7.0525
1974.5伊豆半島沖地震6.9530
1968.5十勝沖地震7.9552
1964.6新潟地震7.5526
1952.3十勝沖地震8.2533
1948.6福井地震7.173769
1946.12南海地震8.051443
1945.1三河地震6.872306
1944.12東南海地震7.961223
1943.9鳥取地震7.261083
1933.3昭和三陸地震8.153064
1930.11北伊豆地震7.37272
1927.3北丹後地震7.372925
1925.5北但馬地震6.86428
1923.9関東大震災7.97105385
※ M(マグニチュード)、震度、死者不明者数については時代によって基準が異なるなどの理由により、各地震間での比較はできません

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2016年 熊本地震(災害関連死)

死者273人のうち地震が直接的な死因となったのは50人、それ以外の多くは地震災害関連死と認定されています。
まず、直接死の内訳ですが、家屋の倒壊:37人、土砂災害:10人、火災・ブロック塀倒壊:各1人となっていて、建造物や土砂の下敷きになって亡くなられた方が多いです。
それ以上に、地震そのものでは死なずに済んだにも関わらず震災の影響で亡くなられた方の多さが、この震災の大きな特徴と言えます。中でも注目したいのが、エコノミークラス症候群で亡くなられた方が少なくとも33人いたことです。

2011年 東日本大震災(津波)

この大災害では、なんと言っても津波被害が大きく、亡くなった方の95%は津波による溺死と圧死です。地震発生から津波到来まで数十分はあったので、適切に避難さえできていたら、死者数は半減したと思われます。
また、この大震災でも災害関連死がクローズアップされました。福島県内に限れば地震そのものによる死者より関連死が上回っています。なかでも、地震による原発事故で長期の避難生活を強いられたことによって亡くなられた人が多かったこと、これは他の震災にはない特徴です。

2004年 新潟県中越地震(災害関連死)

死者68人中52人が災害関連死とみられ、その多くにエコノミークラス症候群が疑われます。また、元々基礎疾患のある方や高齢者が地震のショックやストレスによって亡くなったケースも多く見られます。
また、被災地域に於いて地震直後から病死者が倍増、カウントされていない関連死の方も多くいらした可能性があります。
一方、最大震度7と揺れが大きかったにも関わらず、家屋倒壊による犠牲者が少なかったのは、豪雪地帯のため建物が頑丈に造られていたことが功を奏したそうです。

1995年 阪神淡路大震災(建物倒壊)

この震災では多くの方が、建物倒壊によって命を落としています。
NHKが死体検案書を分析したところ、地震当日に死亡した人の76%に相当する3842人が地震から1時間以内に死亡していることがわかっています。
このうちの90%は木造家屋の倒壊により下敷きになって即死したとみられています。地震が起きたのが早朝で、多くの人々が就寝中。特に2階建ての1階で寝ていた人に被害が多く、2階で寝ていた人の場合は家が倒壊しても生存のスペースが残りやすく、助かった方が多かったことが分かっています。

1993年 北海道南西沖地震(津波)

この地震は、津波により奥尻島島民に多くの犠牲者が出てしまいました。震源が島から近かったため、地震発生から津波到達まで最短3分程度と短く、逃げ遅れてしまった方が多かったようです。

1983年 日本海中部地震(津波)

死者は、そのほとんどが津波によるものです。
津波による死者の内訳は護岸工事の作業員:41人、釣り人」18人、遠足中の小学生:13人。
第一波は、地震発生から8分後、最大波高は14メートル。津波警報発令は、地震から14分後。日本海側に大津波は来ないという俗説が被害を大きくしたという指摘もあります。
なお、この時代以前については、災害関連死まで調査されていないようでデータがありません。

1978年 宮城県沖地震(ブロック塀倒壊)

マグニチュード7.4、最大震度5、死者28人。
このスペックだけ見たら、大震災とまでは言えないように思うかも知れません。
しかし、東北大学の研究棟の強震計で、最大加速度は1040ガルという建物上の観測としては世界最大値(当時)を記録しています。
死者28人のうち、18人がブロック塀などの構造物の倒壊によるという点が、非常に特徴的です。

ここまでで、だいたいのパターンが出揃ったので、一気に関東大震災まで飛びます。

1923年 関東大震災(火災)

死者10万人以上という、文字通り未曾有の大震災。
いかんせん戦前ですので、現代とはかなり状況が異なるものの、その教訓の多くは今でも聞くに値するはずです。
津波、がけ崩れや土石流でも多くの命が奪われていますが、圧倒的多数を占めるのは火災による死者です。地震発生が昼食時で火を使っている家が多かった、木造住宅が密集していた、風が強かったなどの悪条件も重なり、多くの犠牲者を生んでしまう結果となりました。
また、デマの流布によって、在日朝鮮人数千人が虐殺されるという悲劇が起きたことも、忘れてはならない歴史です。

ここで改めて、これまでの大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。その死を無駄にすることなく、今後起きるであろう震災の教訓とさせて頂きたく思います。

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これらの前例を元に、どうしたら地震で死なずに済むかを、次回の記事で考察(予定)します。